Candy
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得体の知れない何か、なんか黒くて冷たくてどろどろとしていて、それでもって重くて暗い。 そういう何かが、オレの中でぐろぐろと渦を巻きながら、浮き上がってくるのを感じていた。 最初は小さな粒だったはずだ。一番最初はそんなものなかったはずだ。 いつからかその、黒く冷たくどろどろとした、重く暗いものは中のほうで重さを増し、ぐろぐろと渦を巻くようになったのだ。 気づいた時には、だいたいの場合において手遅れで。あれ、と思ったときには手遅れになっていることのほうが圧倒的に多くて、 オレの人生はその繰り返しじゃないだろうか、そう言っても言いすぎというわけでもないと思う。 本当は手遅れになったから気づくんじゃあないかって、そういうものじゃないかって。 順番として。手遅れになってから気づく。もうそんなの気づいても気づかなくても一緒じゃないか。 むしろ気づかないほうが気持ちとしては楽なんじゃないかってそんな気がしてきた。 これもいまさら気づいたところで手遅れなんだけれど。
ようするに、それは、もう、絶望的ってことではないだろうか。

何時間も考え込んで結果として得たのはその程度のものだった

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