スカートの端が揺れるから、あたしは裾をを押さえたままじっとしてる。 バタバタバタとうるさいスカートは、あたしごと吹き上げるみたいな風を感じてる。 周りの木々は揺られていないけど、あたしが踏み付けた花は必死に花粉を遠くへ飛ばそうと努力してる。 可哀想に。可愛そうに。 ごめんなさい。 あたしはその花粉を飛ばせないのだ。 あたしはお気に入りのブーツの下に、かわいそうな花を踏みつけて、じっとしていることぐらいしかできないのだ。 ミツバチは花のもとへ飛んでくるけど、あたしには優しい運び屋さんなんて飛んできてはくれない。 (ロンシャンはあたしの元へなんか来てくれない) 黙ってたって誰も助けてなんてくれないのよ 代わりに、風車を回す。 蜜蜂の代わりに。 あたしは、甘い蜜は 鼻の奥のほうがツンとして、喉が痛くなるから、きらいなの。 (強がりなんかじゃないわ) |