Rain

今でも雨の日は少しだるい
空気が含んだ涙の、その水分と気配の分だけ僕の肩は重くなり、憂鬱な気分が僕の背中にのしかかる。
目は覚めたものの、脳髄はまだゆめをなごりおしんで、 瞼の裏側の世界を見つめていて、体は半分夢の中に浸っていた。
雨の匂いはよりいっそう僕を夢の中へ引きずり込むので、 こんな日にベッドから起き上がるのは一苦労だ。
このままずうっとベッドの上で眠っていたいなぁ、とか、それこそゆめみながら 、そういう訳にもいかないので(もう子供じゃないんだし)今日やらなければならないこととやるべきことを浮かべて、無理矢理体を叩き起こす。
のしかかるような重みが体を支配していた。
夢の世界は雨と同様に重い。
夢の残り香が、僕の周りを飛び回ってる。
その香りと気配の分だけ僕の胸は重くなり、起き上がる瞬間はいつだって憂鬱だ。
掌の下で緩やかに流れるシ―ツの波とその先の寝息を追って 夢の残り香がゆっくりと下へ下へ降りていくのを待ってから、ベッドにさよならを言う。
(あの寝息の先にもさよならを言えたらいいのに)
カーテンを開ければ、予想通りの土砂降りで、 こんな中、シャワー浴びるのもなんて莫迦らしいんだろう。
(浴びたいなら、外に出ればいいじゃないか)
冷たい雨を浴びるだけ浴びて、風邪を引いて、熱を出して、寝込んで、 そのまま、死んじゃったってかまわないじゃないか。
この憂鬱な雨の日に、あの憂鬱な雨も朝もさようなら!Addio!なんて素敵!

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