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振り向かなくても分かるのは、いつだってオレを探しに来て見つけるのは 決まってあいつだからだ。 「いいかげんに部下たちを困らせるのはやめたらどうだ」 つやつやとした靴で地面を踏みしめる音をさせて、 仕立てのいい黒いスーツを着込んで、リボーンはいつだって俺の後ろに立つ。 オレは返事をせずに、肩を震わせた。寒い。日はとっくに傾いて辺りはもう薄い闇に 包まれている。俺の白いスーツはいつまでたっても、ちっとも闇に溶け込まないのに。 リボーンが小さく、すごく小さくだけれどため息をついて、オレの横に座った。 「…スーツ汚れるよ」 かまわない、とリボーンは言って、たしなめるように 「マフィアのボスがかくれんぼか」 続けて、俺が黙ったままでいると、 「いつまでたっても子供心を忘れない。ご立派なことだ、な」 いやみを言った。 「帰るぞ」 子供じゃないんだから、帰りたくないなんて駄々をこねるつもりはないから (行方をくらましている時点で無意味なことの気もするけれど)立ち上がって、スーツの汚れを軽く払う。 「オレさ、絶望してみようと思ったんだ。」 オレのいきなりの言葉に、 リボーンは面をくらったみたいで、一瞬だけ間が開く。 (珍しいこともある。これだけでも行方をくらました意義はあったんじゃないだろうか) 「…なんだそりゃ」 「でも、できなかった。」 薄闇の中でリボーンの戸惑う顔が見える。 「ようするに、オレは思ってたより前向きだったってことさ」 |