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薄かった闇は重さを増し、住居への道を照らすのは規則的に聞こえてくるリボーンの先を進む足音だけだ。 時々、雲間から月明かりが姿を現すけれど、オレの足元を照らすには弱弱しくやさしすぎる。 黙ったまま前を行っていたリボーンが、突然足音のリズムを止めて、 「ツナ」 振り返った。顔はよく見えない、けれど、 リボーンの影が月明かりで揺られていた。 「何」 「お前、何を考えてる」 はっとして、一瞬だけ記憶をめぐる。 こんなに不安げな質問をしてくるリボーンは記憶の中にはない。 オレのせいか。そうだろうか。オレのせいか。オレのせいだ。オレのせいか。そうだろうか。オレのせいだ。ごめん。 ぐるぐると回ってから、申し訳ない気持ちが先に来て、絶望的な自分の失態に気づいた。 「リボーン」 暗闇の中で、リボーンの表情は見えないけれど、想像をしてしまう。 「リボーン」 リボーンの影は月明かりで揺られている。 どうして、気づくのはこうも遅いのだろう。 いったいどんな顔をしてそんなことを言ったのだろうか。どうしてオレはそんなことを言わせてしまったのだろうか。
(だから、伝えなくてはと思ったのだ) 昔からずっと、そうだ、幼い子供に飴玉をよこすように、 「そうしたら、うん。がんばれるよ。がんばるよ」 手遅れだからってやり直しがきかないわけじゃない。 絶望的ってことは、ようするにその程度のことだ。 その程度のことだ |